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仕事を終えララをシャンプーと病院に連れて行きほっとする。

ララは実家で飼っている老犬で持病があるけどなんとか無事に生きている。
ふわふわの毛を撫で回し、可愛いねと何度も言うと満足そうに笑ってくれるので猛烈に可愛い。

家に帰り、野菜と肉とホールトマトを煮込んだスープを作りながら、

銭湯で盗られたスリッパの事を想う。

一緒に探してくれた風呂上りのお爺さんや靴を貸してくれた店員さんの事など。
あの靴は地味でくたびれていたけど、とにかく履きやすかった。

そこがよかったのかな、よくわからない。

 

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少し前にガルシア・マルケスのコレラの時代の愛を読みレビューを書きました。

初恋の人を51年間も想い続ける一途な純愛話と思いきや、

待ち続ける間自由気ままに多くの女性と関係を結び、

老女の夫が亡くなった途端ここぞと愛を告げに行く男の一生を描いた話だった。

女性達をそれなりに愛しながらも、最初の愛が薄まらない事が興味深い。

老の酸化した匂いに包まれ「失望の生み出す幻想を越え、愛をも越えて」結ばれる二人。

 

聖人ではない個性的な登場人物たちの

それぞれの愛の形。